S.M.A.R.T情報にある、電源投入回数、使用時間は信用できるのか?

このパソコンは、どの位の時間動作しているんだろう

『このパソコン、何年くらい動作しているんだろう。』
色々な場面で、パソコンの実稼働時間を知りたくなる場面があります。
当店は修理・メンテナンスのお店なので、そういう情報も含めての、総合的なご相談が多いと感じております。

パソコンの実稼働時間が判る場合がある

メーカーによりけりですが、BIOS/UEFIなどの管理画面内にて、パソコンの動作時間を記録している機種があります。
まず、パソコンの稼働時間を知りたいなら、真っ先にこの情報が記録されているタイプの機種かどうか、調べるべきでしょう。
【例】Panasonic レッツノート(Letsnote)シリーズ

でも、実際には記録されていない場合が多い

BIOS内に『パソコンの実稼働時間』を記録している機種はそう多くはありません。
実稼働時間なんか無くても、メーカーの発売時期を調べれば、何年前のモデル(機種)かは判るのでは?
と思われた方も多いかと思います。
パソコンを取り扱い事業者の場合、メーカー発売時期(からの経過年月)も参考にしますが、最も注意深く見るのが実稼働時間です。

例を挙げますと、こんな感じです。

パソコンを購入してから3年。Aさんは、パソコンを購入してから時々インターネットをするくらいで、もっぱら年末の年賀状作成が主で、年間を通じても30日使うか使わないか、くらいの利用頻度。

Bさんは、個人事業主。家でも仕事場でも、このパソコンをメインに活用されており、ほぼ毎日朝から、仕事が終わるまで利用している。このような場合、AさんとBさんの間では、1年間あたりの実稼働時間は約30倍の開きがあると推察されます。

3年後の累積稼働時間を想像してみますと、Aさん の推定稼働時間は約 300時間、かたや Bさんの推定稼働時間は、9000時間にも達する可能性があります。

実稼働時間をどのように推測していくか?

パソコンの稼働時間が記録されていない機種の場合、二番目の策である、ストレージ(ハードディスク・SSD)の情報を頼りに、実稼働時間を類推する方法を模索します。
これが、S.M.A.R.T情報 です。SMART(スマート)と呼びます。

S.M.A.R.Tは、ハードディスクの通信簿

S.M.A.R.Tは、ストレージ(ハードディスク・SSD)内に記録される情報で、ストレージで行った作業量の記録、起こったトラブルの情報、動作時間・回数などを記録します。一般的にはこの情報は改竄できないことになっています。
この情報を分析するソフトを介して、異常なし・故障の兆しあり・故障発生 などの情報をパソコンの利用者様に提供する目的で記録されています。
この故障の兆しを発見できる可能性があるのが、S.M.A.R.T情報が有り難がられる理由です。

どの情報を実稼働時間の代替とするか?

ストレージ(HDD・SSD)の実稼働時間というものを、目安の情報とします。
実際のところ、パソコンは動かすけれども、ハードディスクを利用しない(動作させない)ことはありません。
ウィンドウズなどのOSプログラムが、ハードディスクに格納されているためです。
なので、ストレージの稼働時間パソコンの稼働時間 とが近似であると扱う訳です。

S.M.A.R.Tに関する注意事項

新品で購入され、修理をされていないPCに限る

お買いになられた時の部品構成のまま利用されている場合には、前述の『ストレージの稼働時間 = パソコンの稼働時間 』が成り立ちますが、過去に故障が発生しストレージ類を交換修理されたり、パソコン自体をそっくり交換してもらった場合などは、この予想値にずれが生じ成立しなくなります。
(ストレージ部品のみの交換修理だった場合は、交換してからの稼働時間に相当します。)

中古PCでは、あてにならない情報

ストレージ類が物理的に取り外しが可能な部品であることから、中古パソコンで購入された場合、その実稼働時間の予想は困難になります。商品品質の目安として実稼働時間を参照することは不可能なので、商品の外観・程度や、取り扱っているお店の信用・信頼度なども合わせて総合的に吟味すべきです。
話しは少し脱線しますが
一般的には、ハードディスクは経年劣化しやすい(= 壊れやすい)部品なので、中古パソコンにおいて新品のストレージに交換され販売されている場合、通常これは良い条件として扱われます。稼働時間を隠蔽する目的で交換したのでは?と穿った見方をされることもあるでしょうが、動作時間が長い場合は、パソコン自体の外装キズや、キーボードの程度でもある程度は想像ができますので、そのため(=稼働時間の隠蔽)だけに高価なストレージを交換するのはコストに見合わないと思います。

タブレットPCや薄型ノートPCでは信用できる情報?

タブレット状、2in1のタイプ、超薄型パソコンなどの製品で、ストレージがメイン基盤に直接取り付けられていて、取り外しできない構造だった場合は、新品でも中古でも、信用できる値である場合が多いです。
※メーカーさんの修理が入ったPCだったとしても、メモリモジュール部分だけを交換して修理しているメーカーさんは少ないと判断しています。

実稼働時間と年式について

以上のように、パソコンをどのくらい利用していたか?はパソコンの年式でも、購入してから何年経ったか?でもなく、稼働時間で判断するのが最も妥当だと当店では考えます。ある統計では、パソコンの動作時間が10,000時間~15,000時間を超えてくると、経年劣化による故障が発生しやすくなり、20,000時間を超えてくると故障する個体の割合が増加するという情報があります。

今回は実際の稼働時間というキーワードで記事を作成していますが、パソコンがどのくらい長持ちするのか?という意味で申しますと、パソコンをあまり使わなかった場合でも年式が進むにつれ自然故障の確率は上がってきます。先の例に挙げたAさんの場合でも、Bさんと比べて30倍長持ちする訳ではありませんのでご注意ください。

あなたのパソコン、もうどのくらい稼働していますか?