他社製品が残っていて、新しいウィルス対策ソフトがインストールできない場合の原因と対処方法

ウィルス対策ソフトの切り替え時に多いトラブル

古いウィルス対策ソフトをアンインストールして、新しいウィルス対策ソフトをインストールしようとしたら、『他社のウィルス対策ソフトがインストールされています』という意味の表示があり、インストールがうまくいかない、という事象によく出会います。

こういうトラブルが発生しやすい事例

ソフトウェアの競合という症状なのですが、

  • 試供版のウィルス対策ソフトをアンインストールした時に発生
    パソコンを購入した時に付いていた試供版のウィルス対策ソフトとは別の会社のウィルス対策ソフトをインストールしようとしたら、発生するパターンがあります。当店で対応している感覚で言うと、割合として多い組み合わせです。【例】ウィルスバスタークラウドを削除したら、新しいウィルス対策ソフトがインストールできない。
  • 有効期限が切れてからウィルス対策ソフトをアンインストールした時に発生
    有効期限がきれたままずっと放置していて、しばらくして他社のソフトに切り替えようとした時などに発生するパターンがあります。こちらも当店の感覚では、試供版の例に次いで多い症状です。【例】カスペルスキー(Kaspersky)が期限切れで、しばらく放置したあとでアンインストールしたら、ESETがインストールできなかった。
  • 対策ソフトを何も入れてなかったのでインストールしようとしたら発生
    お客様ご自身では、ずっとウィルス対策ソフトを入れずに使っていたという認識だったが、いざ新しいソフトをインストールしようとしたら、昔入れたかもしれないソフトの名前が表示されて、まるで他社のウィルス対策ソフト製品を使用中かのようにみえる症状があります。

この症状自体は、全体から見る割合はそんなに多くはありませんが、当店ではトラブルの対応を行うせいか、扱う件数としては多いと感じています。ウィルス対策ソフトを入れ替える時は、このような症状が発生するかもしれないことを意識しておくと良いでしょう。

症状が発生したら念のためにバックアップを

脅かす訳ではありませんが、とにかくトラブルに見舞われたら大事なデータを真っ先にコピーして、バックアップしてください。ウィルス対策ソフトの問題かと思ったら、ウィンドウズシステムの問題だった、HDDが故障し始めていたなど、原因は多岐にわたるためです。
トラブル発生時は、データのバックアップが一番で、ウィルス対策ソフトの対処は二番目です。

トラブルの原因は大きく二種類あります

新しいウィルス対策ソフトがインストールできない事象ですが、原因のNo.1 と No.2 をご紹介します。
普通に複数のウィルス対策ソフトを入れていて、残りのウィルス対策ソフトがひっかかったという事例もありますが、原因が明快なのでここでは省略いたします。

通常、ウィルス対策ソフトをアンインストールすると、その製品の『アンインストーラー』があなたのパソコンから、このウィルス対策ソフトに関する情報を綺麗に消去することになっていますが、この手順の中で製品情報の消し忘れ・消し残し のようなミスをしていると、あとからインストールするウィルス対策ソフトのインストーラーに、競合する他社のウィルス対策ソフトがインストールされたままになっている と誤認識させてしまうことになり、新しいウィルス対策ソフトがインストールできません。

前のウィルス対策ソフトに非が無い場合、そのほとんどがウィンドウズ本体による不具合 (誤検知) です。
ウィンドウズには、セキュリティーセンター と呼ぶセキュリティーの管理部門がありますが、ここで既にアンインストールされている製品が、まだ稼働しているかのように検知されてしまう という既知の問題があります。
例えば、私が良く使う『システムの状況確認ツール』【ESET提供のもの】でシステムの状況を表示させた場合、テスト事例として、カスペルスキー社製品をアンインストールしたあとで、問題が発生しているシステムで認識状況を確認した時の情報です。

[情報] [ウイルス対策製品:Windows Defender]
[情報] [スパイウェア対策製品:カスペルスキー インターネット セキュリティ]
[情報] [スパイウェア対策製品:Windows Defender]
[情報] [情報ダイアログを表示します。]

ウィルス対策製品として、カスペルスキーは削除されていますが、スパイウェア対策製品としてカスペルスキー社製品が検知されたままになっていることが判ります。(完全にウィルス対策ソフトが削除されていないという風にウィンドウズ側は検知しています。)この状態だと、あとから新しくインストールするウィルス対策ソフトは、カスペルスキーがまだ残っていると判断してしまい、インストール作業が進みません。


※ 本事象の原因が、ウィンドウズ側にあるのか各ウィルス対策ソフト会社の作法にあるのか、明確でないため細かくは記しません。あなたの事象が本事象に合致するかどうかの判断として、セキリティーセンターでの検知状況で判断するためこのような記述になっています。

前のウィルス対策ソフトの消し忘れを対処する方法

先程のアンインストーラーによる不具合、消し忘れ・消し残しの後処理をする方法があります。
ウィルス対策ソフト各社が発表している、リムーバー (Remover) というソフトがこれに該当します。
各社サポートページなどから入手し、あなたのパソコンで実行すると、特定の製品について消し残しを検査し、該当情報があれば情報を消去してくれます。メーカーによって使い方が違うのでここでは一つ一つの手順についての解説は省きますが、概要で申しますとそういう流れになります。

ウィンドウズシステムによる誤検知トラブルを対処する方法

最初に記します。ここで紹介する方法はウィルス対策ソフト会社より伺った情報をもとに公開しています。管理者権限でコマンドを直接実行する方法です。誤った入力をするとウィンドウズが壊れる危険性を含んでいます。実施においては各人の責任において実行してください。


セキリティーセンターを一時停止させて、管理情報をいったん忘れさせる方法を取ります。
以下の作業は、セーフモードで実行してください。通常モードだと実行できない場合があります。
・Windows PowerShell(管理者)を起動します。
net stop winmgmt /y を実行します。
cd c:\Windows\System32\wbem wbem ディレクトリに移動します。
現在位置が System32である場合が多いので、実際は cd wbem でもOKです。
ren repository repo.old を実行して、もとの情報を温存しておきます。
うまくいかない場合は、このコマンドでエラーするはずです。素直にセーフモードで実行しましょう。
・PowerShell を閉じて、再起動します。
再起動後は、セキュリティーセンター上のインストール済みソフトの誤検知が解消されているはずなので、新しいウィルス対策ソフトのインストーラーを実行してください。

インストールに関係するトラブルには種類があります

ここでは、代表的なトラブルふたつの情報を記載しましたが、全ての事象がこのふたつで解消するものではありません。うまくいかないからと、何回も繰り返しても結果は同じだと思います。無理せず大事なデータの確保と、最終的にはシステムトラブルとして、システム自体の修復や回復を行うことを検討してください。
ウィルス対策ソフトは、ウィンドウスシステムの深いところに入って動作するソフトウェアなので、こじらせたままの状態で無理やりインストールすると、良くないことが必ず起こります。
手に負えないと思ったら、潔く専門のお店に相談してください。

当店でもウィルス対策ソフトに関するトラブルを受け付けています

ご自分では手に負えないと思ったらぜひご相談ください。
当店でもこのような事例に対応するサービスがございます。
実際のパソコンをご持参の上、ご来店ください。