NASにバックアップする、メリットとデメリット

ミラーリング構成のNASにいれておけば大丈夫?

先日、あるお客様にこのような質問をされました。

こんな質問をうけまして、そのときも色々とご説明した内容ですが、皆様にも有益かと思いここに記しておきます。バックアップのことを検討されている皆様に有意義な内容となるよう努めます。
※2017/08の記事を加筆・修正したものです。

NASのミラーリング(RAID-1)構成に保存すれば完璧?

結論から言うと『ちがいます。完璧ではありません。』
話しを判りやすくするために、以下を別々に説明いたします。
・NAS製品を導入すること。
・RAID-1(ミラーリング)構成を導入すること。

両者の違いを解説します

まず、RAID-1(ミラーリング)について
複数のHDDに同じデータを記録することで、HDDの自然故障に対する耐性(信頼性)は(HDD 1台のみに記録する場合と比べて)上がります。
外付けUSB HDDを二台導入して、手作業で同じデータを保存する方法と比べて、手間が少なく、人為的な操作ミスが発生しにくいというメリットがあります。
NAS製品を導入することについて
例えば、USBの外付けハードディスクを二台用意してそれぞれに同じデータを記録する方法と比べ、NASのミラーリング(RAID-1)を使用することで新たに生じるメリット・デメリットがあります。意外に知られていない項目もありますので、ぜひ参考にしてください。

メリット :HDDの自然故障に備えられる

RAID-1の場合、NASにデータを保存すると、自動的に 2台のHDDに同じデータが記録されます。
HDD単体の自然故障に関しては、この方法を選ぶ事でデータの消失リスクは激減させることができます。 (USB HDD単体にデータを保存する時と比較して)
ただし、この効果はNASでないと得られないものではなく、複数のメディア(HDD/DVD/USB)などに同じデータを記録し続けていれば、上記とほぼ同等の効果は得られます。違いは、データ保存時の作業の手間の違いです。

メリット :HDD 2台に同じデータを入れるより手間が楽

RAID機能によって、複数のHDDがひとつのHDDのように見えるので、一回のバックアップ操作で複数の(RAID-1の場合、2台の)物理的なHDDにデータが保存されるため、手間が一回で済みます。
(USB HDDを複数台用意して、それぞれにバックアップする方法と比べて)

手間さえ厭わなければ、USB外付けHDD 2台を用いて、大事なデータを HDD(A)、HDD(B)それぞれに保存することでも同様の効果をえられます。

デメリット :NASケースの故障リスクが追加で発生 (注目)

NAS自体は、ネットワークに接続してパソコンにHDDの内容を見せたり、セキュリティーの設定に応じて、データを閲覧できたり、できなくしたりすることができます。いわゆる『小さなコンピューター』のような装置です。
中のHDDが故障していなくても、外側のNASの筐体にあたる部分も故障の可能性を秘めています。
・NASの電源が入らなくなった。
・エラーランプ、エラーメッセージが出て正しく起動していない。
この新たなリスクについて、ご存じでない方が多いのも事実で、導入にあたって一番配慮するポイントだと思っています。
今までUSB HDDなどの製品にデータをバックアップされていた方がNASに移行される場合には、新たな故障のリスクになります。

デメリット :NAS HDD内が特殊フォーマット。データ復旧が難しい

NAS自身が故障した場合、中のHDDからデータ救出(復旧)させる必要がでてきますが、一般的なパソコンで用いられるデータ構造とは異なり、普通のWindowsパソコンではデータの読み取りは難しく、これに適した専用の環境が必要となります。一般的にはデータ復旧事業者に委ねる場面になります。※すべての機種に該当するものではありませんが、そういう仕様の製品は多いです。
これは、NAS独特のリスクと考えていただく必要があります。
こういう追加コストを懸念されている方は、
・USB HDDを複数台用意して、手作業でバックアップする方法や、
・NAS製品にUSB HDDを追加で接続して、NASのバックアップをUSB HDDに取れるような方法も
検討しないといけません。

当店がオススメするNASの構成とは?

NAS を導入するにあたって、上記のようなメリット・デメリットをご紹介しましたが、NASの導入に否定的な訳ではありません。NAS を導入することで生じるデメリットを他の方法で無くしてしまえば、大変良いバックアップ環境になり得ます。
当店では、今まで判っているデメリットを吸収する機材を追加して、下記のようなバックアップ構成をお勧めいたします。

ご家庭など小規模な構成のNAS

大事なデータはご自身の手でしっかり管理をしたい。
HDDの自然故障に備えるのはもちろんだが、NAS固有のリスクについても対応したい。
そんな方には・・・・
NAS導入時には、NAS自身に外部USBポートを搭載した製品を選んでください。
そして、そのNAS に備えられているUSBポートに、別途、外付けHDDを接続し、自動的にNAS の内容をバックアップをしてくれる機能を有効にして下さい。
(※NAS領域のデータを、NASに接続されたUSB外付けHDDに自動的にバックアップする機能。)
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PC 】-【NAS 】-【NAS専用の外付けHDD】
これで、RAID-1(ミラーリング)の利便性とHDD単体故障時の耐性を向上させ、
ネックだった、NAS独特のNAS筐体トラブルによる、データへのアクセス不可問題が解消されます。
自動バックアップで使用する外付けHDDには、普通のWindows PCでもデータが参照できる仕様なのかも合わせてチェックしておいてください。

ご商売などで利用される場合のNAS

大事なデータはご自身の手でしっかり管理をしたい。
HDDの自然故障などに備えるのはもちろんだが、NAS固有のリスクについても対応したい。
アクセス権限などの都合上、USB HDDにバックアップを作成するのは、部門内のセキュリティー上問題がある。
そんな方には・・・・
NAS製品を 2組購入して、それぞれのNAS領域内に、お互いのNAS領域をバックアップできるよう設定できる製品を選んでください。
そして、お互いのNAS の情報を互いのNASデータをコピーする設定にして、定期的に実施します。

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NAS1の中身は、【NAS1自身のデータ + NAS2 のバックアップ】
NAS2の中身は、【NAS2自身のデータ + NAS1 のバックアップ】
NAS1 と NAS2 は、互いにデータをバックアップし、片方が動作不良になってもデータが消失しない構成になります。
NAS自身にトラブルが発生しても、もう片方のNASでまったく同じ情報にアクセスできるので、業務を止めずに継続できる魅力があります。
もちろん、早急に代替のNAS 環境を整える必要はあります。

全てに共通して言える大事なこと

バックアップの必要性について、この記事では機器の故障がきっかけでデータを消失しないよう機材や構成の説明を致しました。ですが、機器の故障以外にも、結構な割合でデータの消失が発生する理由があります。それは、人為的ミスによる消去 です。

先に紹介したNAS の機能では、人為的ミスによるデータ消去に対して十分な保護がありません。
これを実現するには、NAS の外部にバックアップをすることと、世代管理と呼ばれる時期をずらして実施したバックアップの履歴 を作成する必要があります。例えば、一週間ごとにバックアップを実施し、これを 4週間分 (4回分)取っておいた場合、誤って消してしまった、気づいたら無くなっていたという人為的トラブルについて、4週間前まで遡って復元させることができます。

記事冒頭の、『NAS を入れておけば大丈夫なんでしょ?』と聞かれたお客様も、人為的ミスによる消去の件は、あまり検討されていなかったらしく、バックアップの方法を見直すと仰っていました。
あなたの、もしくは、あなたの組織の大事なデータを守るのは、意外と手間隙がかかるものです。
雑に扱えば、結構な確率でデータはあっさり消えます。
データ復旧サービスも万能ではありません。お金を支払っても復元できない事例も沢山あります。
大変な目に遭う前に、あなたのバックアップ見直してみてはいかがでしょうか。