カスペルスキー(Kaspersky)ウィルス対策製品、日本国内でも忌避する動き
ロシア製ウィルス対策ソフト、排除していく方向に?
日本国内で販売されるウィルス対策ソフト、いわゆる五大製品にはロシア製ウィルス対策ソフトのカスペルスキー社(Kaspersky)が名を連ねています。今回色々な理由から、日本国内でもこの製品の扱いを取りやめたり、もしくは技術的パートナー契約の解消など、この会社の製品に依存しないような動きが始まっています。
簡単ですが、どのような経緯だったのか解説してみます。
目次
創業者の経歴にも疑問が
カスペルスキー社の創業者の一人、ユージン・カスペルスキーさんはKGB にゆかりのある学術機関で数学や暗号の研究をされていたことで有名。コンピューターウィルスの研究を経て、カスペルスキー社を設立し、現在まで続く『Kaspersky Security』関連のソフトを開発・販売している。
※KGB 暗号部隊出身の社長と言われているのはこういう背景から。
このKGB 出身という点がのちの疑惑の種のひとつになっていて、また、のちに雇用した、ロシア内務省での勤務経験があるスタッフが、その後ロシア政府から国家反逆罪で逮捕されるという事件もありました。
※自社の社員が国家反逆罪で逮捕!これらの情報は、その後の疑惑に真実味を上乗せする効果になっています。
アメリカで使用禁止の製品に指定
2017年、ロシア政府がこの製品を使って、アメリカ合衆国にサイバー攻撃を仕掛けた疑いがあるという調査結果が報道され、同年、アメリカ合衆国は国内の政府機関に対して、カスペルスキー社製品を使用するシステムから排除するよう指示しました。
当店スタッフが記憶している限り、この当時、日本国内ではカスペルスキー製品を排除する動きは出ていませんでした。
最終的なきっかけはウクライナへの侵攻
2022年、ロシアによるウクライナへの侵攻が始まり、アメリカ以外の国々でも、情報セキュリティーについて検討が行われ、2022/04 NTT社が発表したようにカスペルスキー社製品を排除していく動きに向かってゆきます。
カスペルスキー社の製品を利用しているIT関連企業はまだあるので、今後NTT社と同じように追随するものと推察されています。
我々一般の個人が考えるべき事は?
他国が発表した情報ではありますが、ロシア政府とつながりがあるんじゃないか?と疑惑を持たれているカスペルスキー社の製品を使い続けるデメリットについて考察します。
もっとも重要視すべきことは、ウィルス対策ソフトやセキュリティー対策ソフトの性質上、パソコンの奥深くに入り込んで動作するソフトであることです。自分のパソコンを丸裸にできる機能を有しています。ゲームソフトや、年賀状ソフトなどと比べて、絶大な信頼のもとにインストールしないといけないソフトである、ということを理解しておいてください。
シンプルに資金援助をしたくない
カスペルスキー社製ソフトウェアの売上は、最終的に本国ロシアの収益につながります。
※ Kaspersky社は本社機能は英国にあると主張。
※ 実質的な拠点はロシアだという意見もあり、詳細は不明です。
単純に戦争の資金を絶つことに貢献したいなら、この会社の製品を購入・更新しないことは有効です。
この製品を使い続ける技術的なリスク
他国では、サイバー攻撃の手段として悪用されているという疑惑がそもそもの発端となっています。
セキュリティー的な観点で安全なのか危険なのかを検証することは、とても難しく時間のかかる作業です。
日本国内においても、技術的な観点で安全なのか危険なのかを述べた資料は拝見したことがありません。また日本国内において率先してこのような調査・研究をされていると聞いたこともありません。
他国での扱いを見ながら『うちはどうする?』と判断していようにも見えます。
ここから先は当店の判断と行動だけをお伝えします。
当店では、2017年以降、社内でカスペルスキー社製品を利用すること、お客様に同社製品を勧めることを止めています。ある程度の時間が経過して、安全であるという状況証拠が揃ってきたら、そのときに判断をしたいと思っています。
皆様にお願いがあります
日本国内において、色々なセキュリティー製品の販売会社があります。タイプとしてふたつ。
ひとつは、ウィルス対策ソフトを開発し販売している会社。もうひとつは、ウィルス対策ソフト/サービスの名称は違うものの、製品内部の核となる技術が他社製のもの である製品・サービスが存在します。
自分が利用しているセキュティーサービスは、どこの会社の技術を使っているんだろう?
今回のようなことをきっかけにして、どの国のどの会社の技術を使って、我々はパソコンやインターネットを利用しているのか、ぜひ知るきっかけ にしてください。