データの内容に関係する変わった症状でした

当店ではお客様から、パソコンやソフトウェアに関するご相談を沢山頂戴します。
その中でスタッフの印象に残った事例を備忘録として公開しています。同じような症状の方の参考になれば幸いです。

お客様からお伺いした内容と詳細

お客様からはエクセルのトラブルで相談に乗ってほしいとご依頼を受けておりました。
お伺いした内容は以下の通りです。

お伺いした内容

❌ 既存のエクセル文書を開くと、エクセルがすぐに無応答になる。
→ こうなるともう、プログラムを強制終了するしか手がない。
→ 再現性はある。
✅ エクセルのプログラムアイコンをクリックすると、エクセル自体は起動できる。
✅ テストで新規作成を選ぶと、簡単な数値の入力はできる。
→ 無応答にはならない。エクセルは動作している？文書データが壊れているの？

お客様側でもテストを実施されていたようで、上記のような内容を伺えました。

当店で追加調査した内容

まず、当該エクセル文書が壊れているのか否か？を判断するため、お客様に許可を頂き、別のパソコンで問題となっている『既存のエクセル文書』を開いて検査いたしました。
✅ 他のパソコンでは正しく開き、ハング・無応答の事象は発生しませんでした。
この時点、特定のエクセル文書に起因するとらぶるではないことが確定しました。

✅ ハードディスクなどストレージに劣化や故障が始まっていないの確認を実施。
→ 故障の状況証拠は無し
✅ WindowsUpdateなど、更新失敗などの記録がないか。
→ 更新失敗などの症状なし。
✅ システムログなど、OS自身のエラーや不具合の記録がないか。
→ 不具合の記録は見つからず。
パソコン・ハードウェア、OS自身を強く疑うような状況証拠は見つからず。

更に追加調査

新規エクセル文書はハング・無応答にならずに操作できるので、どのような条件があるとハングするのか切り分け作業を試みました。すると今回、変わった条件が見つかりました。

✅ セル内に数値や文字を入力しても問題ない。
❌ 数式や関数を入れると、その内容を表示したあとで無応答の症状が発生。
→ 何回か手順を繰り返しましたが、偶然ではなく関数入力のあとでハングすることが判明。
✅ お客様が持っているエクセル文書にも数式が多数使われていることをヒアリングして確認。

どうやら、数式や関数が含まれる文書を開くと、無応答になる問題だった ようです。

今回の対処方法

PC側の検査と総合的に考えて、Microsoft Office単体の不具合であることが濃厚になってきました。
この時点でMicrosoft Officeを修復して改善するか作業を実施しました。
方法としては、修復インストールや完全な再インストールと選択肢はあるのですが、部分的な差し替えでは成功率が低いと感じていたので、お客様からお時間を頂戴して、完全な再インストールを実施しました。

今回は完全な再インストールを選択しました

✅ Microsoft Office 2010 Home & Business
→ サポートが終了したバージョンなので、ライセンス認証などが通るか心配でしたが2023/11 の時点でちゃんと通過しました。
◆ 事前に個人データのバックアップを実施。
◆ 通常の手順で、Officeのアンインストールを実施。
◆ 通常の手順で、Officeの再インストールを実施。
◆ ライセンス認証(初回起動設定)を実施。

✅ 新規文書を開いて、数式・関数を入力しても無応答にならないことを確認。
✅ 最終確認として、問題となっていた、エクセル文書を開き、無応答にならず操作ができることを確認。
(お客様にお願いして文書を開いて確認して頂きました。)

今回は、Microsoft Officeの入れ直しで回復させることができました。

総括

エクセルの動作が無応答になる場合、エクセルのプログラム自身が無応答になるのか、それとも特定のエクセル文書で無応答になるのか、で調査の流れが変わります。
エクセルそのものが起動しないのなら、少なくともエクセルは壊れていると判断できますが、条件によっては動作することがあった場合、扱っているエクセル文書に原因がないのか確認する工程が増えます。
特に、他の方からいただいた文書の場合は、文書データの整合性についてきっちり確認する必要があります。

当店が推す、適切な対処方法

おかしな症状に遭遇したら、
✅ 1.まっさきに大事なデータをバックアップしてください。
✅ 2.故障よりウィルス感染が疑われる場合は、専門の方に相談を。
✅ 3.該当する文書が、他のパソコンで正しく開けるか確認する。

この順番で実施して頂ければ、どのような症状で、どこを疑うべきかが安全に判別できます。
インターネットが普及してから多い相談事例は、バックアップも取らずにネットにある回復手順を片っ端から試して、症状を悪くしたり、データが壊れたりする事例に発展してしまうことです。ご自身の大事な文書が人質になっていることを強く認識して作業の順番を間違わないようにしてください。

参考リンク

類似の症状について情報がないかとアクセスした時の記録です。