中国産と日本風、そして日本産の違い (買うならどこのメーカーが良いか?)

外国産か日本産で判別すると、判断を誤る?!

お客様から良く聞かれます。次にパソコンを買うとしたら、『どこのメーカーのパソコンが良いですか?』と。
我々も色々な着目点から、どのようなメーカーが良いのかアドバイスを差し上げる場合が多いのですが、単に国内に本社があるメーカーの製品を買っておけば良い という訳ではないように思うので、これをテーマに記事を書いてみたいと思います。

読まれる上でのお約束

我々の感じたことを書き記します。個人的な意見です。絶対的な評価や判断ではありません。事実として書いたことはできるだけ確認をしてから記載しているつもりです。特定のメーカーを攻撃する意図はありません。書かれている内容について、参考にして頂く分にはかまいませんが、購入の最終的な判断はあくまでもお読みになっている貴方自身です。
それを承知の上で読み進んでください。

言葉の表記について

ここでは中国産=悪、日本産=良という形で紹介をしていません。この件はもっと複雑な話しです。
現在、海外で製造するメーカーのほとんどは、中国国内で製造を行っています。大好きな方も多い、あのAppleでさえ中国製です。

我々が思う品質の差

パソコンとしてでなく、パソコンのパーツ単位で見るとそのほとんどは中国にて製造されています。
じゃあ、何が日本製(日本産)なのだろう?と疑問になると思いますが、パソコンにおいて国内組立製造である点を強調する場合、その意味は、『国内で組み立てて最終品質の確認を実施しています。』 という事を、俗に日本製と表しています。
製造時の品質というものは沢山作ると製造品質が上がります。これは工業製品として当たり前の事です。パソコンにおいては、一昔前の外国製というイメージで判断してしまうと、評価を誤ります。

じゃ、海外製品でも問題ないんじゃないの?と思われるかもしれませんが、そうではありません。たしかに品質に差があります。
どういう差かと言うと、ここは推測が入りますが『製品品質のチェック体制の差』 だと思います。
製造時にある程度、良品・普通品、合格ギリギリ、不合格、論外の代物まで沢山のレベルの製品が出来上がったときに、どのレベルまでを出荷するのかどうか?という点です。

不良品を出さない、不良品なら交換すれば大丈夫?

要は、組立製造してパソコンになった時、どのレベルまでを出荷OKとして出すのか?という観点があります。怪しいものは出荷しないという方針なのか、不良品としてクレームが来たら返品交換の対応をすればいいんだろうという方針なのかによって、どのレベルの製品までが世の中に出て行くのか? そういうことです。
例えば、『当社はお安く販売しているので、保証期間中でも送料はお客様にご負担頂いております。なんていうメーカーは、不良品が沢山、世の中に出回っても送料などの負担がないので、他社では出荷に躊躇するレベルのものでも、出荷されている可能性があるかな? と、ある程度メーカーの気質 (企業体質) というか方針が想像できることもあります。

極論で言うと、どこで作ったかより、誰が品質チェックをしたか

製造時品質自体は、海外も国内も近似してきている昨今、最終的な品質を左右する要素は、会社として、メーカーとして、どのレベルのものまで出荷しているか?出荷してはいけないレベルのものを、しっかり除外しているのか?ということになります。
ひとつの例として、ある海外メーカーが自社で製造と出荷していて、日本国内で本格的に展開をしようとした時に、日本国内向けに出荷した製品の検品全般を、ある国内企業に任せたという時期がありました。任された会社は自社の出荷基準に基づき、輸入された製品をチェックしたところ、約30% もの製品がメーカーに送り返された!という事例があります。『嘘でしょう~』 と絶叫したくなるようなお話ですが、だれが出荷の判断をするかでこれだけ合格品の割合に違いが出るのです。

外国産、日本産では判断できないもうひとつの理由

日本国内に本社があっても、パソコンの製造自体を海外のメーカーに製造委託するスタイルが増え、一般化してくるにつれ、国内においても色々なタイプの会社が設立されています。
それは・・・
国内製造から海外製造に移管した企業 (日本産から日本風)
元々国内で製造していて、海外に製造拠点を移した・もしくは現地の製造メーカーと提携して製造し始めたメーカー。
モデルによっては、海外と国内の拠点を使い分ける企業もあり、若干紛らわしいところもあります。

特定のモデルについては現地生産企業に丸投げ状態にした企業 (日本風)
日本産の発展形で、デザインなどのおおまかな要求だけ伝えて、あとは現地生産企業に全面委託するケース。日本でもこの手法を取り入れすぎて、品質がおかしくなったところも多数あります。最近、国内主導の生産体制に切り替えるなんてアナウンスをした企業がありましたよね。

日本企業だけど、製造工場を持たず海外企業と提携して製造する企業 (日本風)
創業当初から海外メーカーと提携して製造を開始し、国内では企画や開発、販売・サポートだけを行っている会社。
あえてメーカーではなく会社と呼びます。この手の場合、どこの海外メーカーと組んでいるかが判りにくいので、製品品質を事前に判断する材料が少なく、あたり外れの大きい商品になりがちなのがデメリットです。国内メーカーという点ではどちらもそうなのでしょうが、会社の成り立ちによっては、製品品質に差がある場合を良く目にします。タイトルにもある、『日本風』『日本産』 の違いが、ここにあります。

どういう基準で選ぶべきか

さて、新しくパソコンや2in1 PC、タブレットなどを購入するにあたって、どのような基準で検討をしたらよいのか、ポイントを絞ってご提案します。ぜひ、参考にしてください。

流行りの 2in1。 あたりはずれの大きいジャンル

製品の特徴である、着脱の部分、折り曲げる角度の大きいヒンジ構造などで、強度・耐性などのパラメータにおいて不安があります。
これは、この手の商品や仕組みをどのくらい長く扱ってきたかが品質の善し悪しを読むにあたって重要な要素です。
2~3世代、長~くデザインが変わらず定番のモデル、ということでない限り知らないメーカーのものには手を出すべきではありません。最初の1年だけ使えれば文句は言いませんという感じなら、逆にどこでも良いのかもしれませんが。

あたりはずれの大きさなら、PBブランドも要注意

最近は、雑貨店などを中心に、こういうIT系のPB商品があります。その筆頭はタブレット系製品ですが、やはり海外で生産したものを日本語のパッケージに入れて販売しているので、その生産に携わった企業の質で製品の質がします。
比較低安価で販売する傾向の強いPBなので、情報収集など、かなり吟味しないと当たりを引くのは難しいかなと感じています。

製品品質以外のところで、騒ぎになるメーカー

主に搭載されるBIOSやソフトウェアに起因するものですが、セキュリティー上の重大な欠陥を搭載したまま販売されていたメーカーもあります。
他社では聞いたことが無い事例なので、個人情報やセキュリティーに敏感な方は、購入の際に慎重に検討してください。
これに該当するキーワードは、Superfish問題、LSE BIOS問題などです。興味があれば調べてみてください。

ノートパソコンにも意外な落とし穴が

比較的成熟してきているジャンルですが、やはりヒンジ強度だったり、製品強度だったりに、粗雑さを感じるモデルが今でも存在します。極端に安いものは長持ちしないと割り切って購入すべきです。過度な期待は禁物です。
商品価格が高いのにも、安いのにも理由があります。

文章などを多く入力される方は必見です。世界各地でパソコン事業を展開しているメーカーの場合、ノートパソコンの外装を共通部品とする傾向が強く、そのしわ寄せがキーボードのレイアウトに現れます。キーの数が多い日本語キーボードの場合、無変換、変換、Enterキー周辺、などに無理やり配置したようなレイアウトが散見されますが、これはあまり日本市場を重く見ていない現れです。こういうことろにもその地域でしっかり商売をしていくつもりがあるのか無いのかが判ります。修理などのサポートを行う場合でも、メーカーサポートが弱かったり、修理パーツの流通が、日本向けローカライズ品だけが流れてこなかったりと、色々と弱さが目立ちます。外国産を選ばれる際にも、この点の違いはしっかり見ておくと、変なものを買わされないで済みます。

それぞれのメーカーの善し悪しについては

当方では細かな言及を避けます。お店にいらした方でしたらこっそり耳打ちするぐらいはできますが、こういう記録に残しますと、いろいろと問題もありますのでね。

インターネットの普及に伴い、それぞれのモデルについて感想を書き込むサイトや、評判などを残すサイトも沢山ありますので、ユーザーのふりをした宣伝記事に騙されないようにしながら、本当のユーザーさんの声を拾って、善し悪しを想像してみてください。
あと、日本にはまだ国内で組立製造をしている企業が何社かあります。日本国内のパソコン事業の灯火を消さないためにも、できるだけ国内で作っていますというモデルを応援して頂けると、同じ世界に身を置く当店としても嬉しく思います。そういう会社やモデルを知りたいという方も、ご来店時にお問い合わせください。当店でお取り扱いのある製品については情報を持っております。

いざパソコンを買おうと思ったら、国内メーカーがひとつも無い!そんな時代が来ないよう、我々消費者も賢く選べるようになりましょう。