無線LAN(WIFI)の暗号が破られても、罪に問われない可能性
ある地裁で仰天の判決が出ました
ある犯人が、他人の家の無線LAN(WIFI)のパスワードを不正に解読し、無断でその無線LANを利用し、不正アクセスやら、色々と犯罪を重ねて逮捕された訳ですが、起訴の内容として、
(1) 他人の無線LANのパスワードを破って侵入した罪。(電波法違反)
(2) ネットバンキングなどのパスワードを盗み、不正に送金した罪。
について争われました。
我々の判断としては、(1) も (2) もどちらも『有罪』になるものだと思う案件でしたが、今回の判決では、(2) のみを有罪とし、(1) は無罪となりました。
担当地検も(1)に関しての控訴断念の判断で刑が確定する様子です。今後同様の裁判では判例として重要な意味を持ちます。
無罪に至った経緯
今回、無線LANのパスワードを破られた被害者は、暗号種別『WEP』 を使って無線ルーターを動作させていました。この『WEP』 は、無線LANが初めて登場した時からある最も古いタイプの暗号で、最近では、この暗号を数分で解析する怪しい機械なども販売されている、とても信頼性の低いものとなっています。
判決に至る経緯に本情報が関係しているかは不明ですが、とにかく不正アクセスで悪事の片棒を担がされても、我々としては迷惑でしかない訳で、どうにかして自衛手段を講じる必要がある訳です。
我々が被害に合わないようにするには
新しい無線LANの機材 (ルーターやアクセスポイント) に変更することです。
無線機材やマニュアルに WEP の表示や、11b だけの記載がある場合には、かなり古いタイプのものとなりますので、早急に置き換える必要があります。
判らない場合には、購入した機器のメーカーや、通信事業者からレンタルしている場合には、通信事業者に電話して相談してください。
通信事業者からレンタルしている機材がこれに該当する場合、買い替えではなく通信事業者に連絡して新しいタイプの機材に変更してもらうよう手配しましょう。故障以外の交換はできないと言われたら、他の通信事業者への変更を検討するがいいか?と交渉してください。
本件のまとめ
他人の無線LAN(WIFI)のパスワードを不正な手段で解読し、それを利用して他人の通信設備を無断利用することは、電波法に違反しています。ですが、今回の判例のように、古いタイプの暗号を使った通信機材の場合、相手の罪を問えない(裁判で負ける=無罪となる)可能性が高いです。
犯人が捕まる場合、無断で通信をしたことではなく、何かしらの不正アクセスやネットバンキングなどの不正操作による罪である場合が多く、犯人が不明なまま犯罪だけが明るみになった場合、その無線LAN設備を所有する方(= 貴方自身)が疑われる可能性があります。
最大の防御 は、現時点で考えられる限りの、複雑な暗号を装備した無線LAN機器(ルーター・アクセスポイント)を設置し、利用することです。
基本的に 現在販売されている製品でしたら、ほとんどの機種で最難易度の暗号が搭載されています。