注意喚起!通信販売されている中古パソコンに付属するオフィス製品について

Windows7からの切り替え需要に伴い、ご相談の件数が増加中

2019年はWindows 7サポートの最後の年でもあり、このOSを利用されていた方も含めて沢山の方がパソコンを買い替える年でもあります。最近では中古パソコンなどを選択する方も多く、その中で購入後に困ったことが発生したとご相談にいらっしゃる方が増加傾向です。
ご相談の内容は色々あるのですが、結構な割合で相談を受けるのは『オフィス製品』に関するご相談です。
その中でもかなりショッキングだった内容について記録を作成いたします。

お客様からのご相談

オフィス製品に関する質問は多岐にわたるのですが、その中でも多い質問について、まとめて記載します。

オフィスに関係するご質問は、現在、ご相談(A)~ご相談(C)の3系統の質問に集約されます。
特に(C)は悪質度が高く、潜在的な被害者が多い気がしますので最大限の注意が必要と感じています。

ご相談(A)インストールされていたオフィス製品が別物!という事例

今も昔もよくあるご相談の内容で、自分自身では『マイクロソフトのオフィス(Word/Excel)が付属しているものを購入したつもり』だったが、実際に届いた商品(パソコン)には、別の会社のオフィス製品がインストールされていた事例。

起動時のソフト名が異なるので気づく人もいれば、実際に操作して違和感を感じ、ご相談にいらっしゃる方もいます。

基本的な対処の方法
この事例の場合、実際の購入店、特に販売ページに記載されている内容で勝負が決まります。
実際の販売ページに『Microsoft Officeが付属しています』と書かれているのに、別の会社のオフィス製品が届いたのなら交換・返品の対象になり得ます。記載内容が商品と合っていた場合、記載内容がMicrosoft Officeとなっていない場合は、お客様が確実に勝てるかどうかは微妙な状況になります。交渉が可能な状態だったなら、あとはお客様と販売店との協議となります。 お客様の要望を伝えて交渉を開始してください。交渉において誠実さが見られない場合などは、第三者(※)を交えて交渉するのも良いでしょう。
※ 例えば消費生活センター、大手通販サイトに出店している店舗の場合は、その通販サイトのサポート部門など


当店からのコメント
昔と比べると数は減ってきている感じはありますが、現在でもこの様な『限りなくお客様が違う意味にとるであろう記載をして』 商品を販売しているところがあります。詳しい方に相談するなど、『購入前の確認が』重要です。

ご相談(B)オフィス製品のライセンスが付属しないがインストールはされている事例

Microsoft Officeがインストールされていたが、再インストール用のメディアやライセンスキーなどが付属していない事例。お客様の多くは、このオフィス製品を使い続けてもよいのかどうか?自分の権利としてこのライセンスは有効なのか?そういう観点から心配され、ご相談にいらっしゃる方が多いです。

この事例は、この組み合わせで正しい場合と、不正なライセンスが添付されている場合と、二つの事例があります。

基本的な対処の方法
この組み合わせでも正しい場合についてコメントします。
中古パソコンの再生・販売を行う事業者は、マイクロソフトが設立した再生事業者団体に加入している場合がほとんどで、この中である条件が揃った事業者が販売する場合に、オフィス製品のみがインストールされ販売されることがあります。
マイクロソフトが設立している関係団体には、MAR再生事業者 と、MRR再生事業者 があり、上記のようなオフィス製品は付属するけれど、再インストールのメディアなどは付属しませんという販売方法は、MAR再生事業者にのみ許されている販売方法です。
もし、お客様が購入された販売店が、MAR再生事業者に参加している場合は、適切な販売方法である可能性が高いです。MAR事業者の簡単な見分け方は、販売されている商品に銀色のシールが貼られていて、そこに【MAR事業者】であるロゴがあります。
→ 参考記事 『オフィスソフトの種類。あなたはどれを選択しますか?』🔸
当店からのコメント
もし、上記以外の組み合わせでOffice製品だけが組み込まれていた場合、販売店に相談してみてください。
『ライセンスキーも何も付属していませんが、これは正しいライセンスが譲渡されていると考えて良いですか?』 と。
この質問に販売店がどう答えるか?お客様が納得する回答が得られるのか?これで状況は把握できると思います。
※ 基本的に『ライセンスやメディアは付属しませんが、オフィスは使えます。』という表現は、事前に確認をし納得してから購入すべき『重要事項』です。

ご相談(C)Microsoftアカウントが始めから付属しており、それを使うとOfficeが利用できる事例

中古パソコンを購入したら、商品の中に『Microsoftアカウントと、そのログインパスワードが書かれた紙が入っており』 ここからダウンロードして、Officeをインストールしてくださいと案内した用紙があったという事例。

基本的な対処の方法
最近のオフィス製品は、Microsoftアカウントに紐づけて利用するため、後述の誤った方法の譲渡を行った場合、IDとパスワードが譲渡される事例があるようです。ただしこれは個人間の譲渡で散見される珍しい事例で、圧倒的に少数派。
圧倒的に多いのは、Office 365のライセンスを添付して販売している不正な販売方法です。

販売店から購入した中古パソコンである事例に限ってお話をすると、(C)の商品は、かなり疑いのある製品です。
特に、『Office 365ライセンス』によるOffice 製品が利用可能となっている場合、まず、そのライセンスは永続版ではなく、サブスクリブション契約による製品です。サブスクリブション契約とは簡単に言うとソフトの月極め契約であり、レンタル契約です。そのレンタル費用を払っている方が支払いを止めると、そのオフィスは使えなくなります。
いくら、その販売店のサイトで、『ずっと使えます』『永久保証』などと書いてあっても、その文言が店舗の保証規定に書かれていない場合、本当にライセンスがずっと保証されるのか不明な状況です。少なくともその販売店が無くなったら、ライセンスは切れると思った方が良いです。
【よくある事例】商品説明欄には、オフィスは永続的に使えますと書いておきながら、店舗規約などにはオフィス製品はサービスで付属しているものなので、ノベルティー扱いとなり、保証の対象には含まれませんと、書いてあるケースもありました。

Office 365製品は、利用者(人)がマイクロソフト社と契約して得られる権利です。パソコンなどの(物)に付属させて、その使用権利を移譲できる性質のものではありません。(物は移譲できても、Office 365の権利は元の人のところに残る。)シンプルに購入した中古パソコン(物)にOffice 365製品の権利が付属していたら、ソフトの権利関係を確認すべき重要事項が発生したと思うべきです。

→ ライセンスが正規か否か、についても問題があります。そもそもサブスクリブション契約は、契約者自身が複数期間、複数台数において、オフィス製品を利用する際に用いる契約方法であり、商品に添付して販売できる商品(契約)ではありません。更新時の費用がかからないという時点でかなり怪しいです。

パソコン自体に付属させる方法は、以下の条件だけ。
MAR事業者が再生したPCで、その再生処理の中で添付させたオフィスライセンス。
PC再生事業者が、自店で購入した正規な永続版オフィスライセンスを添付させ販売する中古パソコン。
正式なリカバリーディスクと、元々付属していた永続版Officeライセンスキーとをセットで再生させた中古パソコン。
おそらく、この三種類だけだと思います。

前述のように、中古パソコンに添付する目的で、サブスクリブション契約で得たオフィス製品を、中古パソコンに付属させることはできないので、もし、中古パソコンを購入して、そこにOffice 365のライセンスが付属していたら、『こりゃ永続版ライセンスじゃないぞ!ライセンス、大丈夫なのか?』と疑い始めて正解だと思います。(詳細は、販売店に相談や確認を行って判断してください。)


気をつけるべき、Office 365ライセンスとサブスクリブション契約
昔からパソコンを使っている方に意外と多い誤解。基本的にMicrosftのオフィス製品は永続版しかないと思っている方が、このような被害に遭いやすい傾向を感じています。(当店調べ)
オフィス製品が入っているもので、安いパソコンはないかとネットで検索してしまうと、結構な確率でこういう製品にたどり着く可能性が高いです。。商品には適正価格もありますので、これを度外視した価格設定の場合、ライセンスが正規なものではないんじゃないか?と疑ってかかってちょうど良い位です。
マイクロソフトオフィスのダウンロード版が付属します、なんていう文言も最大限の注意が必要です。

オークションサイトなどで販売されたパソコンで有名な手口ですが、『オフィス付き、一カ月保証!』などと記載されたパソコンに付属するオフィス製品は、このようなサブスクリブション契約の製品である場合が多く、支払って商品が届き、お互いの評価が済んで、商品の保証が切れた頃にオフィスが使えなくなるという詐欺的な販売が流行しました。現在でもこのような詐欺的販売は残っています。

例外的にあるのは、誤ったライセンスの譲渡方法による販売です。
このミスをして販売するのは、圧倒的に個人販売(オークションや個人間取引)が多く、中古パソコンの再生事業者でこのミスをするところは、まず無いでしょう。(業者さんがこのミスをしていた事例は経験したことがありません。)
中古パソコンにオフィス製品をセットにして販売する場合、その中にライセンスキーを含めるのが正式な方法ですが、一部、Office Premium製品などでその譲渡方法が判らず、インストール時に用いたMicrosoftアカウントとパスワードごと、販売してしまう事例が時々見られます。譲渡方法の間違いだけで、そこに正式なライセンスが存在する方法なので、他の事例と比べても被害のレベルは小さなものです。ただ、前の持ち主のMicrosoftアカウントを使い続けるのも抵抗があると思いますので、当店を含めて専門のお店で、正しいライセンスの移譲手続きを経て、再度設定し直した方が良いと思います。

→ 参考記事 『オフィスソフトの種類。あなたはどれを選択しますか?』🔸