トラブルに発展しやすい条件・サービス・ソフトウェア
パソコンのトラブルに遭いやすい方には法則があるようです
当店でパソコンのご相談やトラブル対応を行っていると、その布石にあたる部分に共通点というか傾向があるように思います。ここに書かれているようなことを改善していくことで、将来のトラブルの種が取り除かれます。まだまだ内容が少ないですが、日々の空き時間に書きためた情報を皆様がトラブルを未然に防げたらいいなという思いから、記事に起こしてゆきます。
ここに記載した情報には誤りがない様努めておりますが、万が一情報に誤りがあった場合にはご容赦ください。ここの情報を利用する際はお客様の責任において利用してください。利用されたことによって生じるいかなる不利益も、当方では責任を負いかねます。
目次
パソコンの初期設定でつまづく内容 トップ3
ここに記したトラブルはとても多いので、特に意識して記録・管理するようにしてください。
アカウントに関する情報をしっかり残せれば、初期設定に関わるかなりの部分でトラブルに見舞われずに済みます。
✅ アカウント情報を記録せず、サインインできなくなる
Windowsパソコンの初期設定では、多くの場合マイクロソフト・アカウントを用いてサインインするよう設定しますが、既存のアカウントでなく、今回新規に取得したアカウントの場合で、アカウントに関する情報を記録しておらず、トラブル発生後にサインインできないという状況に遭遇します。
【例】PINコードしか覚えておらず、突然パスワードでサインインしてと言われたができなかった。
✅ アカウントを複数作成してしまい、製品との紐付けがどれか判らなくなる
同じくアカウントに関するものですが、トラブルが生じてアカウントを再度作成した場合などで、オフィス製品などの紐付け状況が不明確になる場合があります。リカバリーや回復処理を実施した場合は、オフィス製品のアクティベーション(設定)が必要ですが、これが紐付けしたアカウントでサインインすることが条件になり、最悪の場合オフィス製品の権利を消失することがあります。
✅ アカウント作成時に提供した個人情報を忘れ、アカウント回復処理ができない
通常、アカウント情報を忘れた場合やサインインに失敗した場合、手続きに従って回復の申請を行うことができますが、アカウントを申請した際に登録した個人情報を忘れてしまい、本人確認の場面で本人と確認してもらえず、回復の申請を拒絶されてしまう事例があります。
アカウントに関すること
最近のアカウントは、購入した製品・ライセンスとの紐付けや、クラウドサービスなどに代表される個人情報の保管・管理に紐付く大事な情報です。この情報があいまいだったり、サインインできなかったりすると、以下のようなトラブルに見舞われます。
🔴 PINコードしか覚えていなくて、パスワード入力の場面でサインインができなくて大変なことになる。
🔴 パスワードを忘れてしまい、新しいパソコンで同じアカウントでサインインできずに、個人データにアクセスできなくなる。
🔴 トラブルに遭うたび、その都度適当にアカウントを追加作成してしまい、購入した製品やライセンスと紐付いていたアカウントがどれなのか、判らなくなってしまった。
マイクロソフト・アカウントの管理はしっかりやろう
最近のWindowsパソコンは、初期設定において【Microsoft Account】マイクロソフト・アカウントを設定して利用し始めるパターンが多いですが、どなたかにお願いするにしても、ご自身で設定するにしても、そのアカウント情報 (アカウントID/パスワード)の管理がしっかり行われていないことによる、トラブル発生もしくは、トラブル解消時の作業の煩雑化により事態が複雑怪奇になる場合が多いです。
登録に用いた情報は細かく記録をしましょう
原始的なことかもしれませんが、新しく作成したアカウントについては以下の内容について紙に書いて記録を残すのが間違いないと思います。
✅ アカウントID 名称
✅ パスワード
✅ 紐づけた個人情報 (メールアドレス? 携帯の電話番号
☑ その他、登録した個人情報。
☑ 氏名、生年月日、郵便番号、性別、住所
これらの情報は、アカウントにトラブルが発生した時に【かなり重要な情報】となりますので、どのような情報を記入して、アカウントの申請を行ったのか、確実に記録しておいてください。
この情報が残されていたなら、今回の悲劇は避けられたであろう場面を沢山見てきています。
クラウドサービスに関すること
最近のWindowsパソコン、最近のOSバージョンでは、OneDrive(ワンドライブ) と呼ばれるクラウドサービスが常時稼働する設定になっていることがほとんどで、いわゆる個人情報 (デスクトップ/ドキュメント/ピクチャー)などのデータが、パソコン本体側でなくクラウド側に保管されています。
パソコンで何かトラブルが発生し、当店のようなところで相談した際に自分のデータがパソコン内ではなくクラウド上に保管されていることを知ったという事例がかなり多い印象です。
OneDriveはクラウドサービス。内容を把握して利用するか決めよう
OneDriveは、クラウドサービスでインターネット上の管理された空間にあなたのデータ(個人情報)を保存し、その作業用コピーをパソコン側に投影するような仕組みで動作しています。
仕組みそのものには利点もあり、特徴を理解されて使用されているのでしたらまったく問題ない利用スタイルですが、中にはこんな方もいらっしゃいました。
🔴 インターネット側で個人情報が管理されていることは知らなかった。
🔴 自分は手元でデータ管理するスタイルで、ネット上に自分の情報を残すのは嫌い。
でも、知らず知らずこのクラウド機能を使っていたという方がけっこういらっしゃいます。
お知り合いの方でも、当店のようにパソコンの相談ができるお店などを活用して、今使っているパソコンでどのような【新しい機能】【知らない動作】があるのか、把握する機会を設けた方が良いと思います。
クラウド導入は好き嫌いで判断してOKです
どの管理方法にも一長一短があります。クラウドという選択肢が増えたにすぎません。
クラウドに関係する企業は、クラウドをやらないのは遅れているという論調で攻めてくるところも多いですが、向き不向き・一長一短があるものです。すべてにおいて優れているものではないので、究極的な話し、日々バックアップを実施するあなた(あなたの組織)の判断で決めて結構です。内容が判らないまま流行りに乗る方がよほど危険です。導入にはコストもかかりますので、導入計画は慎重に行ってください。
個人情報やインターネット環境の変更に伴うこと
いつも利用しているメールアドレスや、携帯電話・スマートフォン(スマホ)の電話番号などを契約変更して、別のものに変えてしまっている方に多い事例です。
前述のアカウントなどのトラブルに関連しますが、これらの情報にメールアドレスや電話番号が紐付いていた場合、何かしらの緊急手続きを行うと【登録した当時の連絡先に】連絡が届きます。これによって本人確認を行う流れなのですが、この手続きが行えなくなっているが故のトラブルというものがあります。
🔴 電話番号などの情報を更新するには、正しくサインインできていることが条件。
🔴 サインインができない場合に、連絡が取れるのは登録済みの連絡先のみ。
※条件が整えば、連絡先を追加することが可能になったようですが、30日ほどの待機期間が必要になるなど、すぐに対処ができないことが多いです。
どこに登録している情報か、事前に確認しましょう
プロバイダの変更を行うことで、メールアドレスが変わります。携帯電話の通信事業者を変更する場合 (MNP以外の方法で契約変更する場合) などは、電話番号が変わります。
これらの契約見直しを行う前に、すでに所持しているアカウントなどで、これら【廃止予定の情報が登録されていないか】確認をしておく必要があります。
スムーズに移行するために、色々なアイデアを用意しておりますので、当店ですと『パソコン何でも相談』🔸 でご相談ください。
トラブル解消 回復の手順を実施しより複雑に
ウィンドウズの動きがおかしい、ウィンドウズが正しく起動しない、これらの状況に陥った場合、次回の起動で専用の回復メニューが表示され回復の実行を促されますが、パソコン内に大事なデータが残っている状態なのに、回復がうまくいくと信じて実施してしまう事例 が結構あります。
この回復メニューというのがやっかいで、回復処理が成功する確率の高い低いに関わらず、とりあえず回復を実施してしまいます。回復作業ではどうにもならない状況下でもむりやり回復を実行するので、データ復旧を第一に考えた場合、かなりやっかいな状況になります。簡単に言うと、被害が大きくなります。
個人情報は残せますというメニューを選んだのに
あの『個人情報は残せます』の表示は何とも罪作りな表示なのですが、回復処理が正しく終了した場合には残せます という表記が正解です。
回復処理自体がエラーして中断した場合は、パソコンの状況はもっと酷くなります。
パソコン内に大事なデータが残っている場合は、回復より先に『データ復旧』をご検討ください。
中のデータが重要な場合は、回復より先に復旧を
先の事例のように、回復を選んでも回復できない事例がけっこう多いので、安易に回復を選んでさらっと回復するという前提で考えない方が良いと思います。(ここはけっこう悲観的に考えてください。)
もちろんデータ復旧には別に費用がかかるものなので、最終的にはお客様の判断となりますが、確実性を求めるなら、データ復旧を行ったのちに回復を試すという順番が正解だと思います。
やっかいな機能、BitLocker暗号化
Windows 11から標準機能になったもので、パソコン内のストレージに暗号をかけて、Windowsが正しく起動し、正常にサインインされた状態でしか、パソコンの内容(データ)が閲覧できないよう暗号をかけておく仕組みです。
そもそもは、ビジネスなどの場面で作業者が出先でパソコンを置き忘れた・盗まれた、会社の事務所に泥棒が入りパソコンやハードディスクを盗まれた、といった場面で正しいアカウントでサインインしない限り、データは閲覧できないということを実現するものです。
この手の高いセキュリティーを必要とされている方なら便利な機能なのでしょうが、一般の方から言わせれば過剰な保護と言えなくもない場面になります。
例として、Windows がクラッシュして起動中にエラー画面が表示され正しく起動しなくなった状況で、なかのストレージ(HDD/SSD)に物理的な問題がない状況であった時、BitLocker暗号化がされていなければ、データ復旧環境でデータの取り出しが可能ですが、もしBitLocker暗号化を有効にしていた場合は、これがまったくできないことになります。
BitLockerは原本データが他にあることが前提
BitLocker暗号化の根本的な考え方は、データの原本は別のストレージであって、そのパソコンでない。 パソコン内にあるデータはただの【控え】であるということ。
なので、トラブルが生じたときにすぐ、【控え】の環境をロックして動作できなくすることが可能名のです。Microsoft社のまずいところは、この説明を省いた上であんな大がかりな機能を標準で動作させてしまうところです。
※ 別のストレージとは、会社のサーバ、店舗のNAS、自分で決めておいた外付けHDD、クラウドサービス・・・etc を指します。こちらには別のセキュリティーが必要になります。BitLockerが導入される前に行っていたバックアップの考え方と同じです。
今まで通りに使うならBitLockerは無効にできます
パソコンで今までどおり原本を保管して管理するスタイルを取りたい場合は、BitLocker暗号化は解除しておいた方がトラブルに強くなります。(※)
※ 紛失や盗難の際のリスクは上がりますので、この点については別途、方針を決めておいてください。