駆け足で学ぶUSB規格。USB 4/3.0/3.1/3.2やUSB-C(Type-C) の事

短時間にポイントだけ解説します

本格的な規格の内容については、各自お調べください。
ここでは、各規格の要点だけを、駆け足でご紹介しています。
内容には注意して記載したつもりですが、もし間違いなどありましたら『ご連絡頂けますと幸いです。』🔸


2022.09 USB.org発表による、通信速度が分かりやすくなるような規格の表記を改める動きが出てきました。規格名称とは別に『マーケティング名』と呼ぶ分かりやすい表記が商品に記載される方向です。
ただし対象となるのは、USB PD3.1相当 (60Wもしくは240Wの電力供給が行える規格)に準拠した製品に対して、表記を改善するようで、過去全てのUSB製品が対象ではない雰囲気があります。ロゴマークのデザインについては、記事後半に載せておきます。


記載されている内容は、2019年の初春です。タイミング的にはUSB 4の概要がお披露目になったタイミングで執筆しています。

USB 1.0/1.1

USBとして初めての規格。転送速度12 Mbps (1.5MB/s)と今となってはそんなに速くないものでしたが、SCSI接続のトラブルで悩まされた経験をお持ちの方でしたら、USB接続による『安定的な接続』の恩恵は大きかったと思います。
給電能力2.5W (5V x 500mA)。これが基準となります。

USB 2.0

高速版のUSB規格として登場しました。転送速度480 Mbps (60MB/s)に向上し、USB製品が急速に普及した時期でもあります。Mini-USB Bや、Micro USB-B規格など、TYPE-Bのコネクタ形状が沢山発表された時期でもあります。
給電能力は、変わらず 2.5W (5V x 500mA) です。

USB 3.0

USB2.0よりも更に高速な規格が登場します。転送速度5 Gbps (625MB/s)に達し、大容量HDDの登場とともに、ものすごく速いUSBという位置づけです。2019年時点で現行規格となります。
この段階ではまだ、コネクターは変わらずに TYPE-A/TYPE-B が使われています。
給電能力4.5W (5V x 900mA) 供給電力の向上が行われました。

USB 3.1

USB規格が判りづらくなったのは、USB3.1からではないでしょうか。コネクタ形状と、給電能力についての記述が増えます。
USB3.1が判りにくい最大の理由は、Type-Cコネクターに由来します。USB3.1 と Thunderbolt 3 /e-GPU関連で色々と混同してしまう事例が多いですが、ここでは、別規格であるThunderbolt と e-GPUは除外して説明します。とにかく Type-C(USB3.1)と、Type-C(Thunderbolt) は別物!とだけ覚えておいてください。

DP ALTモード規格 については、他の記事でも解説しています。

『DP ALTモードに対応しているか判別する方法 (Display Port Alternate mode)』🔸

USB 3.1 Gen 1

USB 3.0と転送能力については一緒です。USB3.0 = USB3.1 Gen 1 と言えます。
製品にあえて USB3.1 Gen 1対応と記載される場合、Type-Cコネクターか、USB PDへの対応をアピールする場合が多いです。
転送速度5 Gbps (625MB/s)

USB 3.1 Gen 2

転送速度10 Gbps (1250MB/s)まで引き上げられた規格です。転送速度の論理値で見ると単純に二倍ですが、有効なデータを送れる能力 (エンコード処理によるデータ損失) についても改善されており、従来は約20%の損失が含まれていましたが、この損失が約 3%にまで低減されています。
USB 3.1を語る場合、最大 5Gbps か 10G bpsかで区別するのが判りやすいです。

Type-C コネクター

USB 3.1規格の登場とともに、Type-Cコネクターが追加されました。裏表関係なく差し込めるものです。
混乱の元は、このType-C形状は、USB 以外にもThunderbolt規格でも、このType-Cが採用されていることです。特にMacユーザーはご注意ください。

USB PD

USB3.1規格の策定後、電力供給に関する規格が策定されました。USB PD(USB Power Delivery)という名称で、最大100Wの給電能力を備えることが可能です。
USB PDType-C は独立した規格ですので、Type-Cの形状をしているので100Wまで大丈夫という意味ではありませんのでご注意ください。
Type-C コネクター自身の給電能力は、15W(5V x 3A)もしくは 7.5W(5V x 1.5A)のいずれかを採用しています。一律 15Wではありませんので、ここにも注意が必要です。
もうひとつ注意事項を。USBケーブルで片方がType-A、もう片方がType-Cとなっている、いわゆるレガシーケーブルではUSB PD規格は適用されません。USB2.0準拠であれば、2.5W、USB3.0準拠であれば 4.5Wが最大値となっています。

UASP

UASP(USB Attached SCSI Protocol)という拡張仕様で、USB3.1 自身には標準で含まれません。
ホスト~デバイスの間で、より高速にデータをやりとりする規格。外付けHDD/SSDなどで採用され始めています。
できるだけ高速にデータをやりとりしたい、という方は知っておいて損はない用語です。
Windows OSの場合、Windows 8以降で UAS(UASP)がサポート されています。
恩恵を受けるには、OS側、周辺機器側、双方でUASPがサポートされている必要が あります。

USB 3.2

2019年、そろそろ対応した製品が登場するのではと期待されている規格。これがUSB 3.2規格 です。
最大の変更内容は、 Type-C 規格のみで利用可能となり、Type-A/B はUSB3.2上では定義されません。(廃止されますが、後方互換性は維持されるので、レガシーケーブルで変換を行えば接続は可能と推察されます。)
規格名の修正も予定されており、こちらも混乱の種が満載の規格ですが、惑わされないようにご注意ください。
USB3.2 Gen 1 と、USB3.2 Gen 2は、既存の規格を名称変更したものとなる予定です。

USB 3.2 Gen 1 = USB 3.1 Gen 1

USB3.2規格上では、USB3.2 Gen 1は、USB3.1 Gen 1の事を指します。(5G bps)

USB 3.2 Gen 2 = USB 3.1 Gen 2

USB3.2規格上では、USB3.2 Gen 2は、USB3.1 Gen 2の事を指します。(10G bps)

USB 3.2 Gen 2×2

USB3.2 で策定された新規格です。転送速度20 Gbps (2500MB/s)まで向上されています。

転送速度
給電能力
後方互換性

USB 4

USB 4 version 1

転送速度40G bpsに向上します。
USB 4.0では、Thunderbolt規格と統合されます。
どのような統合になるのか、詳細については未定です。
好意的にとらえれば、USB3.1あたりから始まった仕様の判りにくさは、USB4.0で解消するように思えます。

USB 4 version 2.0

転送速度80G bpsに向上する予定です。
2022/11 にも正式に規格が発表される予定です。

蛇足。ケーブルの話し

形状が、Type-Cコネクターに統合されたとしても、通信速度が 5G bps ~ 40G bpsまで差がある以上、通信速度とケーブルの品質にはレベルが存在するはずです。より速く通信するためには、より品質の良いType-Cケーブルが必要となり、その区別が必要となってくるはずです。

通信速度の表記を改善するプログラム

2022/09 にUSB.org よりUSB3.0/3.1/3.2/4 に対して、通信速度が分かりやすくなるようなロゴの変更が提案されています。今後このプログラムに参加するメーカーは自社製品にロゴを付与して消費者が認知しやすくなるように改善されるものと思われますが、プログラム発表直後に記事を加筆しておりますので、実際の商品がいつごろから登場するのかはわかりません。

参考リンク

LinkUSB Implementers Forum (USB-IF)
2022/09 USB通信速度の表記を変更する、ケーブル表記ロゴの変更が発表されました。このプログラムに参加するメーカーは、既存の表現から通信速度が分かりやすいロゴ表記になるそうです。
(2022/10/05) 執筆時点では詳細は不明ですが、現行の表記では分かりにくい部分を改善していこうとする働きかけのようです。