DP ALTモードに対応しているか判別する方法 (Display Port Alternate mode)
USB3規格の混沌とした部分が見え隠れ
最近、お問い合わせで多い内容で USB3.x系列、もしくは USB-Cコネクターに関するご相談が増えています。最新に属する、USB3.1 ~ USB3.2 あたりの仕様はとても複雑で、一言で判断ができない状況です。また、メーカー各社が公開している商品資料でも判らない場合が多く、混乱する理由のひとつになっています。ここでは、外部出力のための仕様であるALTモードについて簡単な判別方法から、注意点などまとめてゆきたいと思います。
目次
そもそも alternate modeとは?
(いきなり DP alt modeの解説からだと判りにくいとコメントを頂きましたので追記します。)
USB規格において『通信する』とは、外付けストレージやUSB接続の入出力機器との間のデータ通信を指しますが、同じUSB上に一般的なデータ通信『以外の』例えば、映像系プロトコルなども一緒に転送したいなという希望を叶えるために追加された『仕様』です。Alternate Modeとは、『代わりに~ 代替する~』みたいな意味を持ちます。
その商品の仕様書を見て、USBの項目に『alternate modeに対応している』と記載があった場合は、何らかの『別の規格のデータをUSB-C上に流せる』ことを意味し、この記事で焦点を当てている DP ALT Modeの場合は、Display Portの信号をUSB-C上に流すことができますよ、という意味になります。
Display Port(DP)以外にも、Thunderbolt、HDMI、MHL などの通信規格もあります。(Mac系機器の場合は、Thunderboltが有名ですよね。)
表現方法として、Thunderbird over alternate mode とか HDMI over USB-C など語句に揺らぎがありますが、前半が対応するプロトコルで、後半がオルタネートモードを採用していることを表しています。
この記事では、全てalternate mode (ALT Mode)で統一します。
DP ALTモードとは?何か
正式名称は、DisplayPort over alternate modeで、USB-Cコネクターを通じて映像出力を得るための規格です。通称 DP ALTモード (DP ALT mode)と呼ばれています。
今までのD-Sub15ピンや、HDMIのように専用の映像出力端子を装備してそこから出力するスタイルではなく、USB-Cが持つ高いデータ転送能力を利用して、同じUSB-Cケーブル上にUSBのデータ通信の情報も、映像の出力も一緒に流してしまおう!という発想です。この発想が生まれる前は、DPもHDMI同様に専用のコネクターを装備して出力していました。現在でもデスクトップPC系では専用コネクターを装備している(USBコネクターとは別にしている)ことが多いです。
外部出力の方法は、DisplayPort/HDMIなど色々なコネクターに変換して出力する方法がありますが、いずれも 出力するPCのUSB-Cポートが、DP ALTモードに対応している必要があることです。
しかし、機器のコネクターにはDP ALTモードに対応している旨の記載がない、判りにくい場合が多く、ご相談が増えている理由のひとつになっています。
駆け足で解説 – 外部モニターをつなぐ方法
このページには、一定割合で外部モニターを繋ぎたいという方が訪問されているようなので、規格の解説をする前に簡単な説明を追加します。搭載されているUSB規格が、
USB 2.0以前 – USB に映像情報を流せないので、外部モニターをつなぐのは難しいです。
USB 3.0だけどType Aコネクターのみ – Type-Aの端子に接続し、D-SUb15 や HDMI 出力端子を増やす周辺機器が販売されています。比較的安価ですので、こちらを検討されてはいかがでしょうか?(知らないブランドの製品は、品質にむらがあるので避けた方が良いかと。)
USB 3.xで、Type-C (USB-C)が搭載 – オルタネート・モード(Alternate Mode)に対応しているか?どの出力方式に対応しているか?(Display Port / thunderbolt)各メーカー・製品で異なりますので取扱説明書に記載がない場合は、メーカーサイトなどで確認する必要があります。
駆け足解説では、こんな感じです。
DP ALTモードに対応しているか判別する方法 (簡易版)
次の項目でも記しますが正式なサポートの可否についてはその機器を販売するメーカーに問い合わせることです。ただし、見た目でも十分に判断ができる条件がありますので、それを先にご紹介します。
確実にサポートされていない機器の判別方法 です。
USB3.0以前のものは対象外
USB3 規格は、現状3.0/3.1/3.2 の三種類が存在しますが、まず最初に確認するのは、その機器に搭載されているUSBポートが 3.0 と記されている場合は、DP ALTモードの対象外になります。
USB-A のコネクターのみが搭載されていて、ただUSB-Aコネクタの内側が青いだけのタイプは、DP ALT modeとは無縁の時代のUSB 3.0となります。
言うまでもなく、USB2.0以前も もちろん対象外です。
USB-Cコネクターが搭載されていない機器は対象外
USB3.1以降の規格が採用されている場合、全部ではないにしても、USB-C のコネクターがひとつ位は搭載されていたりします。(最低でもひとつ以上のUSB-Cがある機種が多いようです。)
DP ALTの簡易判断として、USB-Cコネクターが搭載されていない機器は、DP ALTモードには対応していないと判断できます。
micro USBコネクターの場合は対象外
ちょっと脱線して、スマホ系統の話し。
スマホやタブレットの差込み口 (充電コネクターと兼用) が、micro USB や mini USB の場合は、当然ですが DP ALTモードの対象外となります。(USB-C の差込み口であることが第一条件です。)
要注意!
スマホ・タブレットの場合、差込み口がUSB-C 形状でも、USB2.0規格で搭載されているものが多いです。(低価格なエントリーモデルが中心) なので、USB-C (3.0) の恩恵を受けたい、今回のようなDP ALTモードを使いたいという理由で、よく調べずにUSB-C搭載のスマホを購入すると、中身はUSB2.0に準拠していた(= DP ALTとはまったく関係ない)、という場合があるので注意が必要です。
USB-Cは搭載されていて、USB3.1以上の場合
この記事のメイン部分に突入してゆきます。
DP ALT modeを語る場合、USB-Cコネクターが搭載されているPCが、実は一番やっかいです。
USB 3.xで採用されている オルタネート・モード(alternate mode)は任意の機能なので、USB3.x を採用していても、この追加機能を含む・含まないがバラバラです。
※ 表記上、DP-ALTモードをサポートする、という書かれ方が多いです。
次の項目でも記しますが正式なオルタネート・モードのサポートの可否についてはその機器を販売するメーカーに問い合わせることです。ただし、見た目でも十分に判断ができる条件がありますので、それを先にご紹介します。
USB-Cコネクターの横に以下の様な刻印があれば、DP ALTモードをサポートしています。
パソコンの場合
✅ USB-Cコネクターの横に、DとPが重なったようなマークがあるもの。
DP ALTモードに対応しています。
✅ Apple社Mac 製品の場合、コネクター横にマークを刻印していませんので、製品名称(型番)で調べます。詳細は、Apple Supportのウェブサイトを活用ください。
スマホ・タブレットの場合
✅ メーカーサイト、商品情報のページで確認します。経験上、製品のUSB-Cコネクター横に刻印がある事例は少ないと思います。(余談ですが、スマホの場合は別規格でMHLというものがあり、この規格をサポートしているとUSBからHDMI出力を得ることができます。)
間違いない手順は製品メーカーへ問い合わせる
製品コネクターにロゴなどの記載がない、カタログ(仕様表)に詳細が記されていない場合、確実にDP ALT modeの搭載についてはっきりさせる方法は、『メーカーへ問い合わせること』です。
面倒な話しになりますが、最後は意外と泥臭い方法で確認が必要になります。
当店でも有料サービスになりますが、問い合わせを代行いたします。電話で無料でお調べすることはありませんのでご注意ください。
DP ALTモードの判別は意外に面倒である
この記事の総括ですが、USB-C コネクターが採用する規格、相乗りできる(採用する・しないを選べる)仕様や機能の多さから、混乱している実情があります。製品自体が小さいので詳細を記すこともできず、また刻印などはコストアップにもなるので、省略されてしまうこともあります。今はUSB-C規格が成長している最中なので、USB4 が広く一般的に普及するまでは、 この手のトラブル、DP ALTモードは搭載している?していない?はしばらく続きます。
※ USB 4では、主要機能のほとんどが標準機能として取り込まれるそうなので、USB4 = 全部入りという簡単な説明で収束しそうな気配があります。
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